警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

警備員になろうかな、と思ったらまず読んでください。 実体験者が現場で出会った人間たちを、本音で語る警備員の実情。

警備員物語100

【警備員物語19】警備員は地方人の出会いの場。東北・青森人との出会い。だなっす~。

投稿日:2026年7月25日 更新日:

奇跡の青森出身警備員との出会い

警備員になって数か月が過ぎた。

最初は現場へ行くたびに緊張していたが、少しずつ顔見知りが増えてきた。

警備会社というのは不思議な世界で、昨日まで知らなかった人と今日一日だけコンビを組み、
また何か月も会わないこともある。

そんな中で、ある日、私は「あ、この人は青森だ」と思った。

まだ出身地を聞いてもいない。

しかし、言葉のイントネーションで分かった。
どこか吉幾三を思わせるような、あの独特の響き。

どう考えても、そうだろう!
だって、オラだば、青森県出身だもんなさ~。
こったら訛り、青森しかね~。
青森県出身のおらがいうんだから、ホントだべ~

「もしかして青森ですか?」

そう聞くと、相手はニヤリと笑った。

「そうだ。」

それだけで、距離が一気に縮まった。

俺から言わせると、「そうだ」なんて標準語しゃべっんじゃねーべーー!

青森県だば

「んだ」だべ~!

私は青森県南部地方の出身。

相手は二人いて、一人は同じ南部。

もう一人は津軽地方だった。

同じ青森県でも、南部と津軽はずいぶん違う。

言葉も違う。

気質も違う。

県外の人から見れば同じ青森弁でも、現地へ帰れば、
お互い何を言っているのか分からないことさえある。
今は、メディアのせいで標準語に近い言葉が地元でも多く使われているが、
昔は、オラが小中学生のあたりは、
それはそれは、訛りに訛ってらったじゃーー。

ともあれ、「青森」というだけで妙に安心する。

ふるさとの匂いがする。

警備の仕事では、現場では標準語を使う。

そして本当の会話は、誘導棒と目線で行う。

片側交互通行では、相手は何十メートルも先にいる。

大声で話すことなどできない。

誘導棒を少し振る。

目を合わせる。

一瞬うなずく。

それだけで、「今だ」「止める」「流す」が伝わる。

警備とは、無言のコミュニケーションの仕事でもある。

だからこそ、相手を知ることは意外に大切だ。

休憩時間になると、お互い自然に聞く。

「どこの出身?」

「前は何やってたの?」

「趣味は?」

そんな何気ない会話の中から共通点を探していく。

同じ県。

同じ趣味。

同じ年代。

同じ子育て経験。

好きな野球チーム。

好きな酒。

たった一つでも共通項が見つかると、人は急に心を開く。

これは心理学でも「類似性の法則」と呼ばれる。

人は、自分と似た部分を持つ相手に安心感を覚え、信頼しやすくなる。

警備では、この安心感が仕事そのものに影響する。

「この人なら任せられる。」

そう思えれば、片側交互通行も息が合う。

車の流し方も自然に一致する。

危険を察知したときも、お互いが相手の動きを予測できる。

つまり、安全性が高くなるのである。

逆に、お互いをまったく理解しないままでは、小さなズレが事故につながることもある。

私は警備を始めるまで、これほど人との相性が仕事に影響するとは思っていなかった。

そういえば以前、私は「この人も青森かな」と勝手に思った女性隊員がいた。

以前紹介した「マウント女王」である。

顔立ちや雰囲気がどこか北国っぽかった。

ところが聞いてみると、まったく違った。

人は時々、勝手な思い込みをする。

だからこそ、実際に話してみることが大事なのだ。

共通項は、探せば必ずある。

出身地でもいい。

食べ物でもいい。

音楽でもいい。

子どもの頃の遊びでもいい。

その一本の細い糸が、人と人を結び、信頼を育てる。

警備員という仕事は、人を止めたり、車を誘導したりする仕事だと思われがちだ。

しかし警備員の本当は、人と人との信頼で成り立っている仕事なのだ。

私は青森の仲間たちと出会って、それを改めて教えられた。

誘導棒一本で交わす無言の会話。

そして、故郷という共通項。

どちらも、現場を安全にする大切な力なのである。

ここで一発、青森語。

しゃべればしゃべたでしゃべられるし、

しゃべねばしゃべねでしゃべられるし~。

いやぁ、警備やっていると、いろんな地方出身者と出会うね~。

北は青森、北海道。

南は九州、沖縄と。

-警備員物語100

執筆者:

関連記事

no image

現場でバナナをもらった日。警備員は、人の情にも出会う仕事だ

高級住宅地の建築現場で起きた小さな出来事 今日は建築現場だった。 場所は、少し高級感のある住宅地。道はきれいで、家々の門構えもしっかりしている。植木も手入れされていて、車も上品だ。こういう場所の現場は …

【警備員物語81】家賃が払えない。だから便利屋を始めた――残金5000円から仕事を作った話

マンション管理員の面接に落ちた、64歳の私。 警備員から別の仕事へ移ろうと思い、履歴書を書き、スーツを着て面接へ行った。 そして不採用。 こういうとき、人間は弱気になる。 「やっぱり、この歳では無理な …

【警備員物語 71】失敗。店を潰して、家族失う。そして警備員になった

失敗者としての警備員 事業に失敗しての末路として警備員をやっている人は、そこそこいると思う現に私がよく通っていた人気の居酒屋のオーナー店主も厨房にいた奥さんが亡くなり、店が動かなくなって閉店後、施設警 …

no image

警備という人生の波止場に置き忘れてきたもの

今日は建築現場の警備だった。 昼休みだったか、待機中だったか、若い現場監督から声をかけられた。 「ハンカクサイゾウさん、あなた広告代理店にいたんですか?」 どこで聞いたのかと思ったら、同僚のMさんから …

【警備員物語78】警備員を辞めたい。それでも今日も制服を着る

「明日の現場は、13時開始です」 勤務指示を聞いて、私は少しうれしくなった。 午後1時。 いいじゃないか。 警備員をやっていると、午後1時という時刻が、ずいぶん上等なものに思えてくる。 朝5時に起きな …

個人事業企画・再起プランナー。
現在、現役警備員として働きながら、自らの再起を模索中!

元広告代理店勤め、フリーランスプランナーへ。店舗経営(DJバー)を経て、事業に失敗。

その後、地方ホテル支配人、配送、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験する。

現在は交通誘導警備の現場に立ちながら、仕事の厳しさ、人間模様、収入、失敗談、そして現場で見つけた小さな希望を「警備員ブルース」に記録しています。

人生は、思いどおりにいかなくなってからも、続く。

失業した人、仕事に行くのがつらい人、60代からの働き方に迷っている人へ。成功者の上から目線では全くなく、現場で働く一人として、警備員という仕事の現実と、人生をもう一度立て直すためのヒントを届けます。

失敗しても、人生はそこで終わらない。
現場仕事を「人生の再起の入口」に変える、再起プランナーとして発信しています。

最新の投稿

カテゴリー

カテゴリー

<PR>


<PR>