警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

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警備員物語100

【警備員物語46】AIは建築現場に似ている――職人も警備員もいらなくなるのか?

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最近、警備の現場でもAIの話が出る。

休憩時間。

職人や警備員がスマホをいじりながら、

「最近のAIって、すげえよな」

「文章も書くんだろ?」

「絵まで作るらしいぞ」

そんな話になる。

AIなんて、IT企業やオフィスで働いている人たちの話だと思っていた。

ところが、そうでもない。

建築現場にもAIは入り始めている。

そして警備だって、無関係ではない。

そのうち、

「俺たちの仕事もAIに取られるんじゃないか?」

そんな話になるかもしれない。

誘導棒を持って道路に立ちながら、私はときどき考える。

AIとは、いったい何なのだろう。

そしてある日、建築現場を眺めていて、妙なことに気がついた。

AIの仕事って、建築工事に似ているんじゃないか。

まず、見えないところをつくる

建物はいきなり建たない。

最初に地面を調べる。

掘る。

杭を打つ。

基礎をつくる。

完成した建物しか見ない人には、ほとんど見えない部分である。

しかし、ここをいい加減にしたら、その上にどんな立派な建物を建てても危ない。

AIを使うときも、似ている。

何を作りたいのか。

誰に読ませたいのか。

どんな情報が必要なのか。

何をAIに頼み、何を自分でやるのか。

そこが曖昧なまま、

「なんかいい文章を書いて」

と頼んでも、たいしたものはできない。

AI時代になるほど、むしろ最初の設計が重要になる。

土台が駄目なら、その上に何を建てても駄目なのだ。

次は、一気に組み上げる

基礎ができると、建築現場の風景は一変する。

資材が運び込まれる。

クレーンが動く。

柱が立つ。

梁が入る。

昨日まで何もなかったところに、突然、建物らしきものが現れる。

私は警備員として入口に立ちながら、その変化を何度も見てきた。

AIにも、これに似た瞬間がある。

材料を渡す。

指示を出す。

すると、ものすごい速度で文章が出てくる。

企画が出てくる。

アイデアが出る。

画像までできる。

人間がゼロからやれば何時間もかかることを、短時間で組み上げてしまう。

これは確かにすごい。

私は昔、広告や販促の企画を仕事にしていた。

当時こんなものがあったら、仕事のやり方はまったく違っていただろう。

だからこそ、少し怖くもなる。

でも、建物は「骨組み」で完成ではない

柱が立った。

屋根ができた。

だから完成。

とはならない。

そこから、たくさんの職人が入る。

大工。

電気工事。

設備。

左官。

塗装。

クロス。

それぞれの職人が、自分の持ち場を仕上げていく。

わずかなズレ。

表面の状態。

手触り。

使い勝手。

最後の数ミリに、人間の技術が出る。

AIで文章を書くときも、私は同じだと思っている。

AIが出した文章を、そのまま完成品にはしない。

「これは俺の言葉じゃない」

と思えば消す。

「ここはもっと泥臭くていい」

と思えば直す。

現場で実際に聞いた言葉を入れる。

自分が腹を立てたことを書く。

恥ずかしかったことも書く。

空を見て妙に泣きたくなったなら、それも入れる。

最後に必要になるのは、

その人間が、本当に生きてきたものなのだと思う。

AIは文章を組み立てられる。

しかし、私の人生を生きることはできない。

そこは大きい。

では、建築の職人はAIに仕事を奪われるのか

とはいえ、

「だから職人は安泰だ」

とも言い切れないだろう。

建築の世界にも、機械化や自動化はどんどん入ってくる。

設計。

積算。

工程管理。

測量。

点検。

画像による確認。

危険予測。

これまで人間が時間をかけていた仕事の一部は、AIや機械が担うようになるだろう。

ロボットができる作業も増えるかもしれない。

だが、建築現場を毎日見ていると、同時に思うことがある。

現場は、そんなに予定どおりには動かない。

雨が降る。

資材が遅れる。

道路が混む。

予定外の車が来る。

近隣住民から話しかけられる。

図面どおりでは収まらないことが起こる。

そこで、

「じゃあ、どうする?」

と考える。

長年の経験を持つ職人が強いのは、こういうときだ。

AIが広がれば広がるほど、単純な作業は機械へ移っていく。

その一方で、最後に現場を収める人間の経験は、かえって価値を持つのではないか。

私はそんな気がしている。

じゃあ、警備員はどうなる?

そして問題は、私たち警備員である。

これも、安泰とは言えない。

監視カメラ。

センサー。

画像認識。

自動ゲート。

ドローン。

AIによる異常検知。

施設警備の一部は、すでに人間がずっと見張らなくてもよくなってきている。

交通誘導だって、将来はAI搭載の信号や機械が人間の代わりをする現場が増えるかもしれない。

では、警備員はいなくなるのか。

私は、ここでも建築と同じことを思う。

現場には、

「なんでそうなるんだよ」

という人間が必ず現れる。

通行止めなのに、

「ちょっとだけだから通してよ」

と言う人。

こちらの説明を聞かない人。

急に飛び出す子供。

逆走してくる自転車。

予定外の場所へ車を止める人。

道を尋ねてくる老人。

工事とはまったく関係ない相談をしてくる人までいる。

こういう世界を相手にするのが、現場である。

機械が「通行止め」と表示することはできる。

しかし、

「すみません、この先で工事をしていますので、こちらから回っていただけますか」

と相手の顔を見ながら説明する仕事は、まだしばらく人間に残るのではないか。

ただし、警備員の数そのものは減る可能性がある。

だから、

「AIなんか俺には関係ない」

と言っているわけにもいかないと思う。

AIを使う人間と、使われる人間

AI時代には、

「AIを使える人間が勝つ」

とよく言われる。

私は、それだけでもないと思っている。

AIを使う技術は、いずれ多くの人が身につける。

その先で差がつくのは、

何をAIに作らせるのか。

そして、

出てきたものを、どう仕上げるのか。

ではないだろうか。

建築なら、図面を読めるだけでは建物は完成しない。

現場を知らなければならない。

文章だって同じだ。

AIに文章を書かせるだけなら、誰にでもできる時代が来る。

そのとき最後に残るのは、

「この人は何を見てきたのか」

「何を経験したのか」

「何を考えているのか」

という部分だと思う。

64歳の警備員がAIを使っている

考えてみれば、妙な時代になった。

私は道路工事の横で誘導棒を振っている。

その私が家へ帰れば、AIを相手に文章を書いている。

昔、広告の企画をしていた自分。

店をやっていた自分。

いろいろ失敗した自分。

そして今、警備員として現場に立っている自分。

その全部を材料にして、AIと一緒に文章を組み立てる。

なんだか建築現場そのものではないか。

基礎には、これまで生きてきた人生がある。

AIが骨組みを手伝う。

そして最後は、自分の手で仕上げる。

気に入らなければ壊す。

また組み直す。

一行を削る。

一言を足す。

そうやって、自分の文章にしていく。

最後は、誰が仕上げるのか

目の前では今日も建物がつくられている。

機械が動く。

新しい技術が入る。

仕事のやり方も変わっていく。

おそらくAIは、建築も警備も文章を書く仕事も変える。

なくなる仕事もあるだろう。

減る仕事もある。

逆に、新しく生まれる仕事もある。

私自身、これからどうなるのかわからない。

ただ一つ思う。

AIに全部任せてしまったら、その人でなくてもいいものが出来上がる。

建築でも文章でも、

最後の仕上げには、その人間が歩いてきた時間が出る。

私は警備員として建築現場の入口に立ちながら、そんなことを考えている。

AIの時代が来ても、

人生まで自動化されるわけじゃない。

だったら私は、AIを使う。

使えるものは使う。

そのうえで最後の仕上げだけは、自分でやる。

職人が壁を撫でて、

「よし」

と手を離すように。

私も文章の最後の一行を読んで、

「これなら俺の文章だ」

と言えるところまで。

-警備員物語100

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広告系プランナー、フリープランナーを経て店舗経営に挑戦するも失敗。
その後、地方ホテル支配人、配送ドライバー、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験。
現在は警備の現場に立ちながら、警備員や現場仕事を人生の再起の入口として発信しています。
成功談だけではなく、落ちた側・働く側のリアルを知る者として、
再起を応援する「再起プランナー」として発信中。

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