警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

警備員になろうと思ったら、まず読んでください。 現場で出会った人間たち。実体験者が本音で語る警備員のリアル。

警備員物語100

【警備員物語48】警備員ならイベント現場もやってみろ!――いつもの道路を飛び出したら、仕事がちょっと面白くなった

投稿日:

昨日は、イベント警備だった。

場所は大きな展示場。

私の配置は駐車場まわりだった。

いつものように制服を着て、誘導する。

やっていることだけ見れば、それほど変わらない。

ところが――。

なんか、空気が違う。

工事現場には工事現場の空気がある。

ダンプが来る。

職人が来る。

道路を掘る。

一日が終わる。

それに対してイベント会場には、

「これから何かが始まるぞ」

という空気がある。

トラックが入ってくる。

展示関係者が来る。

企業の車が来る。

スタッフが走っている。

その向こうには、これから始まる展示会がある。

私は駐車場に立っているだけなのだが、なんとなく祭りの裏方に加わったような気分になる。

これはこれで面白い。

長く警備をやってきたが、改めて思った。

警備員って、現場を変えるだけで結構違う仕事になる。

今回は、イベント警備をやって感じたメリットを書いてみよう。

メリット① 「非日常」の中で仕事ができる

イベント警備の一番わかりやすい面白さは、これだと思う。

いつもの日常から、ちょっと外へ出られる。

展示会。

コンサート。

スポーツ大会。

祭り。

企業イベント。

催しによって、会場の雰囲気がまるで違う。

もちろん警備員は遊びに来ているわけではない。

仕事である。

担当場所から勝手に離れることもできない。

それでも、イベントが始まる前のざわざわした感じは伝わってくる。

搬入車両が次々に入る。

スタッフが準備する。

関係者が集まってくる。

会場が少しずつ出来上がっていく。

「今日は何が始まるんだ?」

そんな気分になる。

道路工事の交通誘導とは違う刺激がある。

これだけでも、マンネリになった頭には結構いい。

メリット② 知らなかった業界を、ちょっとだけ覗ける

これも私は好きだ。

展示会の警備をしていると、いろいろな企業の車が入ってくる。

搬入されるものを見る。

スタッフを見る。

出展企業を見る。

すると、

「へえ、こんな会社があるんだ」

「こういう業界があるのか」

と思うことがある。

もちろん警備員なので、展示ブースをじっくり見学しているわけではない。

こちらは駐車場である。

それでも、そのイベントの匂いくらいは漂ってくる。

私は昔、広告やイベントに関わる仕事をしていた。

だから余計に、

「このイベントは、どういう会社が企画しているんだろう」

「どうやって客を集めているんだろう」

「裏ではどういう人間が動いているんだろう」

などと考えてしまう。

警備員になっても、昔の癖は抜けない。

だが、それでいいと思う。

警備をしながら、別の世界を覗くことができる。

これもイベント警備のメリットである。

メリット③ 警備員としての「対応力」が上がる。

今回の現場には、知らない警備員が多かった。

自分の所属会社の仕事ではあるが、普段とは違う系統の現場だった。

さらにイベントを得意とする別会社も入っている。

最初は戸惑う。

指示の出し方が違う。

言葉遣いも違う。

立ち位置の考え方も少し違う。

無線の使い方にも癖がある。

「いつものやり方ならわかるんだけどなあ」

と思う。

だが、しばらくすると見えてくる。

この現場では、こう動く。

この人には、こう確認する。

ここでは、このタイミングで車を通す。

つまり、

知らない現場へ入ること自体が訓練になる。

これは結構大きい。

同じ現場ばかりやっていると、その現場ではベテランになれる。

しかし場所が変わった瞬間に動けなくなることもある。

違う現場を経験すると、

「初めての場所で状況を読む力」

がついてくる。

警備員として長く働くなら、これは立派な財産だと思う。

メリット④ 人間関係が固定されない

これは人によっては、かなり大きなメリットかもしれない。

毎日同じ職場へ行く仕事では、人間関係も固定される。

合う人ならいい。

だが、合わない人がいると毎日顔を合わせることになる。

警備、とくにイベント系は違う。

現場が変わる。

メンバーも変わる。

昨日一緒だった人と、次はいつ会うかわからない。

これは寂しさでもあるが、

気楽さでもある。

嫌な人がいても、

「まあ、今日だけか」

と思える場合もある。

反対に、

「この人、面白いな」

という人に出会うこともある。

人間関係が流動的なのは、警備という仕事の隠れた特徴だと思う。

メリット⑤ イベントならではの「ちょっとした楽しみ」がある

そして、忘れてはいけない。

弁当である。

イベント警備は拘束時間が長くなることがある。

朝早くから準備。

開催中の警備。

場合によっては終了後まで。

決して楽ではない。

その代わり、イベント現場では弁当が支給されることがある。

これが地味にうれしい。

「なんだ、弁当か」

と思うかもしれない。

しかし警備員にとって昼飯は重要問題である。

現場の近くにコンビニがない。

店がない。

休憩時間が短い。

そんな現場もある。

だから、

「今日は弁当出ます」

と聞くと、

おっ!

となる。

高級弁当でなくていい。

一日働く途中に、

「さて、今日は何かな」

という小さな楽しみがある。

警備員の幸福とは、ときどきこのくらいのサイズなのである。

「警備員」と一括りにするのは、もったいない

私はまあまあ長く警備をやってきたが、改めて思う。

警備員という仕事は、一種類ではない。

交通誘導。

道路工事や建築現場で、人と車を安全に通す。

施設警備。

ビルや商業施設などで、受付、巡回、監視をする。

駐車場警備。

車の出入りを整理する。

そして、

イベント警備。

展示会、コンサート、スポーツ、祭りなど、多くの人が集まる場所を支える。

同じ制服を着ていても、仕事内容も空気も違う。

だから、

「警備員、つまらないなあ」

と思っている人は、もしかすると警備そのものではなく、今いる現場に飽きているだけかもしれない。

これは結構重要だと思う。

自分に合う警備は、やってみないとわからない

交通誘導が得意な人がいる。

施設警備のほうが落ち着く人もいる。

イベントのざわざわした感じが好きな人もいる。

私はどれが一番いいかと聞かれても、簡単には答えられない。

それぞれ一長一短がある。

ただ、いろいろ経験することで、

「俺はこれが得意なんだな」

というものが見えてくる。

これは第44話で書いた「警備員を続けてよかったこと」にもつながる。

年を取ってから新しいことを覚えるのは、面倒だ。

知らない現場へ行けば戸惑う。

それでも、

昨日と違う場所に立つだけで、頭は少し動き出す。

これも悪くない。

いつもの道路から、ちょっと外へ出てみよう

イベント警備をやったからといって、人生が変わるわけではない。

次の日には、また工事現場で誘導棒を振っているかもしれない。

でも、それでいい。

毎日まったく同じ景色を見る必要はない。

警備員という仕事をしているからこそ、

ある日は工事現場。

ある日は巨大な展示場。

ある日はイベント会場。

知らない街。

知らない会社。

知らない人。

いろいろな場所へ行くことができる。

そう考えてみると、

警備員という仕事にも、まだ知らない景色がある。

これは少し希望ではないか。

今の現場がすべてではない。

今の会社がすべてでもない。

交通誘導が合わなければ、施設警備という選択肢もある。

工事現場に飽きたなら、イベントという世界もある。

だから私は思う。

警備員なら、一度くらいイベント現場もやってみろ!

最初は戸惑う。

でも、その戸惑いの向こうに、

「おっ、これはこれで面白いじゃないか」

という瞬間が待っているかもしれない。

警備員だって、

現場を変えれば、景色が変わる。

そして景色が変われば、

働く気持ちもちょっと変わる。

それくらいの変化から始めてもいいのだ。

自分に合う警備会社を探すという選択肢

警備会社によって、得意とする仕事はかなり違う。

道路工事中心の会社。

建築現場に強い会社。

施設警備を多く扱う会社。

イベント案件を多く持つ会社。

もし今、

「毎日同じような現場で飽きてきた」

「別の警備も経験してみたい」

と思っているなら、求人情報を見比べてみるのも一つの方法だ。

転職すると決めていなくてもいい。

「ほかには、どんな仕事があるんだろう」

と見るだけでもいい。

今いる場所だけが、警備のすべてではない。

自分に合った現場は、案外まだ別のところにあるかもしれない。

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広告プランナー、フリーランス、店舗経営を経て、事業に失敗。
その後、地方ホテル支配人、配送、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験してきました。

現在は交通誘導警備の現場に立ちながら、仕事の厳しさ、人間模様、収入、失敗談、そして現場で見つけた小さな希望を「警備員ブルース」に記録しています。

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