警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

警備員になろうと思ったら、まず読んでください。 現場で出会った人間たち。実体験者が本音で語る警備員のリアル。

警備員の100日物語

【警備員物語19】東北・青森人との出会い。だなっす~。

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警備員になって数か月が過ぎた。

最初は現場へ行くたびに緊張していたが、少しずつ顔見知りが増えてきた。

警備会社というのは不思議な世界で、昨日まで知らなかった人と今日一日だけコンビを組み、また何か月も会わないこともある。

そんな中で、ある日、私は「あ、この人は青森だ」と思った。

まだ出身地を聞いてもいない。

しかし、言葉のイントネーションで分かった。

どこか吉幾三を思わせるような、あの独特の響き。

「もしかして青森ですか?」

そう聞くと、相手は笑った。

「そうだ。」

それだけで、距離が一気に縮まった。

私は青森県南部地方の出身。

相手は二人いて、一人は同じ南部。

もう一人は津軽地方だった。

同じ青森県でも、南部と津軽はずいぶん違う。

言葉も違う。

気質も違う。

県外の人から見れば同じ青森弁でも、現地へ帰れば、お互い何を言っているのか分からないことさえある。

それでも、「青森」というだけで妙に安心する。

ふるさとの匂いがする。

警備の仕事では、現場では標準語を使う。

そして本当の会話は、誘導棒と目線で行う。

片側交互通行では、相手は何十メートルも先にいる。

大声で話すことなどできない。

誘導棒を少し振る。

目を合わせる。

一瞬うなずく。

それだけで、「今だ」「止める」「流す」が伝わる。

警備とは、無言のコミュニケーションの仕事でもある。

だからこそ、相手を知ることは意外に大切だ。

休憩時間になると、お互い自然に聞く。

「どこの出身?」

「前は何やってたの?」

「趣味は?」

そんな何気ない会話の中から共通点を探していく。

同じ県。

同じ趣味。

同じ年代。

同じ子育て経験。

好きな野球チーム。

好きな酒。

たった一つでも共通項が見つかると、人は急に心を開く。

これは心理学でも「類似性の法則」と呼ばれる。

人は、自分と似た部分を持つ相手に安心感を覚え、信頼しやすくなる。

警備では、この安心感が仕事そのものに影響する。

「この人なら任せられる。」

そう思えれば、片側交互通行も息が合う。

車の流し方も自然に一致する。

危険を察知したときも、お互いが相手の動きを予測できる。

つまり、安全性が高くなるのである。

逆に、お互いをまったく理解しないままでは、小さなズレが事故につながることもある。

私は警備を始めるまで、これほど人との相性が仕事に影響するとは思っていなかった。

そういえば以前、私は「この人も青森かな」と勝手に思った女性隊員がいた。

以前紹介した「マウント女王」である。

顔立ちや雰囲気がどこか北国っぽかった。

ところが聞いてみると、まったく違った。

人は時々、勝手な思い込みをする。

だからこそ、実際に話してみることが大事なのだ。

共通項は、探せば必ずある。

出身地でもいい。

食べ物でもいい。

音楽でもいい。

子どもの頃の遊びでもいい。

その一本の細い糸が、人と人を結び、信頼を育てる。

警備員という仕事は、人を止めたり、車を誘導したりする仕事だと思われがちだ。

しかし本当は、人と人との信頼で成り立っている仕事なのだ。

私は青森の仲間たちと出会って、それを改めて教えられた。

誘導棒一本で交わす無言の会話。

そして、故郷という共通項。

どちらも、現場を安全にする大切な力なのである。

-警備員の100日物語

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広告系プランナー、フリープランナーを経て店舗経営に挑戦するも失敗。
その後、地方ホテル支配人、配送ドライバー、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験。
現在は警備の現場に立ちながら、警備員や現場仕事を人生の再起の入口として発信しています。
成功談だけではなく、落ちた側・働く側のリアルを知る者として、
再起を応援する「再起プランナー」として発信中。

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