警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

警備員になろうかな、と思ったらまず読んでください。 実体験者が現場で出会った人間たちを、本音で語る警備員の実情。

警備員物語100

【警備員物語07】健康伝道師・ミス養生さん

投稿日:

工事現場には、不思議な人が集まる。

怒鳴る人。

仕切る人。

しゃべり続ける人。

そして、「健康を守ることが人生の使命だ」と本気で思っている人もいる。

私が「ミス養生」と呼んでいる女性警備員が、その人だった。

初めて会ったときから印象に残った。

姿勢がいい。

表情に迷いがない。

目に力がある。

警備服を着ていても、どこか先生のような雰囲気が漂っていた。

現場が一緒になると、休憩時間は決まって健康の話になる。

「それは体を冷やすよ。」

「これは食べたほうがいい。」

「あれは毎日食べちゃ駄目。」

食品添加物、ミネラル、腸内環境、睡眠、水……。

話題はいくらでも出てくる。

私は仕事中、飴やキャンディーをよくなめる。

長時間立ちっぱなしの現場では、ちょっと口に甘いものを入れるだけで気分が変わるからだ。

親しい警備員には、よく配って歩く。

ある日、ミス養生さんにも差し出した。

彼女は飴を見つめて少し笑った。

「本当はね、砂糖はあまり良くないの。」

そう言いながら受け取る。

「でも、ありがとう。」

その一言が、いかにも彼女らしかった。

否定だけでは終わらない。

相手の気持ちも受け取る人だった。

あとで聞いた話では、世の中がコロナ一色だった頃、
現場で会う警備員に自分の考えを熱心に話していたという。

「よく考えて決めたほうがいい。」

そう声をかけ続けていたらしい。

私はもともと自分で情報を集めて考える性格だったので、その話を興味深く聞いていた。

彼女は流行だから信じる人ではない。

自分で調べ、自分で判断する人だった。

現場が一緒になるたび、新しい資料を持ってくる。

コピーした健康新聞。

栄養の記事。

自然療法の話。

「これ、読んでみて。」

そんなふうに渡してくれる。

警備だけが彼女の仕事ではない。

自分の会社も立ち上げ、名刺も持っている。

現場では隊長を任されることも多い。

私は面倒なので、隊長役はなるべく断ってきた。

だから余計に感心する。

責任を引き受ける人は、それだけで立派だ。

ミス養生さんと話していると、不思議と背筋が伸びる。

健康の話だけではない。

生き方そのものが真っすぐなのだ。

現場が終わるころには、私まで少し姿勢が良くなったような気がする。

警備会社は人生の吹きだまりだと書いた。

だが、吹きだまりには、こんな人もいる。

人の体を気づかい、人の未来を気づかう人。

私は今日も現場で思う。

警備会社には、まだまだ面白い人がいる。

物語は終わらない。

あ、またあの人が・・・・

-警備員物語100

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個人事業企画・再起プランナー。
現在、現役警備員として働きながら、自らの再起を模索中!

元広告代理店勤め、フリーランスプランナーへ。店舗経営(DJバー)を経て、事業に失敗。

その後、地方ホテル支配人、配送、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験する。

現在は交通誘導警備の現場に立ちながら、仕事の厳しさ、人間模様、収入、失敗談、そして現場で見つけた小さな希望を「警備員ブルース」に記録しています。

人生は、思いどおりにいかなくなってからも、続く。

失業した人、仕事に行くのがつらい人、60代からの働き方に迷っている人へ。成功者の上から目線では全くなく、現場で働く一人として、警備員という仕事の現実と、人生をもう一度立て直すためのヒントを届けます。

失敗しても、人生はそこで終わらない。
現場仕事を「人生の再起の入口」に変える、再起プランナーとして発信しています。

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