警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

警備員になろうと思ったら、まず読んでください。 現場で出会った人間たち。実体験者が本音で語る警備員のリアル。

警備員物語100

【警備員物語22】稼ぐ隊長、今日も行くぜ!!

投稿日:

警備員の世界には、実によく働く人がいる。

朝は警備。

夜は別の仕事。

休日も働く。

そんなダブルワーカー、いや、トリプルワーカーさえ珍しくない。

私が出会った「稼ぐ隊長」も、その一人だった。

その隊長は、工事現場では有名人だった。

難しい現場。

交通量の多い現場。

苦情が出やすい現場。

そんな場所へ行くと、よく隊長を務めていた。

仕事は速い。

判断は的確。

隊員への指示も分かりやすい。

職人さんとのやり取りもスムーズ。

だから現場監督からの信頼も厚かった。

「やっぱり、この人は仕事ができるな。」

私はいつもそう思っていた。

ところが、ある時から姿が見えなくなった。

辞めたのかな。

そう思っていたら、隊員の一人が教えてくれた。

「あの人、Uber Eatsやってるらしいよ。」

なるほど。

警備会社は副業を認めているところも多い。

働くも休むも、自分次第だ。

だから、空いた時間を別の仕事に使う人は少なくない。

私も警備を始めた頃は、まだマーケティングの仕事が残っていた。

古いクライアントから相談を受けたり、小さな企画を考えたり。

わずかではあったが、警備以外の収入もあった。

今は、その仕事もほとんどなくなった。

代わりに書いているのが、この「警備員ブルース」である。

そんなある日、誰かが言った。

「隊長、月に五十万円以上稼いでたらしいよ。」

本当かどうかは分からない。

警備員の世界は噂話も多い。

しかし、コロナ禍の頃なら、あながち嘘でもなかったのかもしれない。

あの頃は、Uber Eatsをはじめとする宅配サービスが一気に広がった。

外食が減り、家で食べる人が増えた。

街中を配達バッグを背負って走る人を、毎日のように見かけた。

時代の波に乗った人は、確かに稼いだ。

だが、時代は変わる。

配達員は増えた。

ライバルも増えた。

サービスも増えた。

以前ほど簡単には稼げなくなったという話も耳にする。

どんな仕事も、永遠ではない。

だからこそ、「稼ぐ隊長」の姿が印象に残る。

あの人は、仕事を選り好みする人ではなかった。

目の前にある仕事をきちんとやる。

そして、次の仕事へ向かう。

その繰り返しだった。

私は思う。

たぶん、あの人が稼げた理由は、Uber Eatsだったからではない。

仕事ができる人だったからだ。

警備でも。

配達でも。

相手の立場を考え、段取りを考え、効率を考える。

その積み重ねが、結果として収入につながったのだろう。

そういえば、誰かがこんなことも言っていた。

「隊長、風呂なしアパートに住んでるらしい。」

本当かどうかは分からない。

もし本当なら、ずいぶん質素な暮らしだ。

月にたくさん稼いでいても、生活は意外と地味なのかもしれない。

私は勝手に思う。

いつか風呂付きの部屋へ引っ越せたらいいな、と。

余計なお世話だけれど。

警備員という仕事は、決して楽ではない。

体力も使う。

神経も使う。

夏は暑く、冬は寒い。

だから、この仕事一本で長く生きていくことに不安を感じる人も多い。

私もその一人だ。

だから副業を考える。

ブログを書く。

企画を考える。

AIを使って文章を書く。

何とか警備以外の収入を育てたいと思っている。

「稼ぐ隊長」は、私に一つのことを教えてくれた。

警備員だからといって、警備だけに縛られる必要はない。

時代に合わせて働き方を変える。

新しい仕事に挑戦する。

稼ぐ方法を考え続ける。

それもまた、生きる力なのだ。

今日もどこかで、「稼ぐ隊長」は自転車を走らせているのだろうか。

あるいは、また工事現場で隊長として立っているのだろうか。

私は分からない。

けれど、一つだけ分かることがある。

人生は待っていても変わらない。

走り続ける人だけが、次の景色を見ることができる。

そんな背中を、私はあの隊長から見せてもらった気がしている。

-警備員物語100

執筆者:

関連記事

【警備員物語50】俺は警備員を辞める。そのために、今日から始める。警備員をはやく辞めたい人へ|限界を感じたときに考える次の仕事と再起の道

このブログも50話まで来た。100話を目指しているので折り返し地点だ。 ずいぶん書いた。 警備員になった人。 辞めていった人。 変な隊長。すごい隊長。 職人。 通行人。 老人。 子供。 猫。 公園。 …

【警備員物語54】警備員とトイレ掃除――現場の境界線が、少しずつ曖昧になる日

今日は建築現場の警備だった。 車両の出入りの際の安全誘導。 入ってくるのは、ラフター。 建築資材を積んだダンプ。 それが入って、資材を吊り上げていく。 朝から動きは激しいが、午前中にはだいたい山場が終 …

警備員という仕事を最大限に有効活用する方法

“ただ働くだけ”で終わらせない、人生を立て直すための使い方 警備員の仕事は、世間では軽く見られがちだ。「誰でもできる仕事」「底辺の仕事」「人手不足だからすぐ入れる仕事」――そんな言われ方をすることも少 …

no image

昼休みの居眠りが教えてくれたこと

──18年前と同じ景色。でも、同じ人生では終わらせない。 昼休みの居眠りが教えてくれたこと ──18年前と同じ景色。でも、同じ人生では終わらせない。 建築現場の昼休み。 詰所の椅子に腰を下ろし、そのま …

【警備員物語34】安全靴は命を守る靴|重い・歩きにくい…それでも履く理由【現場のリアル】

警備員になって初めて知ることは多い。 誘導の仕方。 無線の使い方。 工事車両とのやり取り。 そして、安全靴の大切さも、その一つだった。 「靴なんて何でもいいだろう。」 警備員になる前の私は、そんな程度 …

広告系プランナー、フリープランナーを経て店舗経営に挑戦するも失敗。
その後、地方ホテル支配人、配送ドライバー、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験。
現在は警備の現場に立ちながら、警備員や現場仕事を人生の再起の入口として発信しています。
成功談だけではなく、落ちた側・働く側のリアルを知る者として、
再起を応援する「再起プランナー」として発信中。

カテゴリー

カテゴリー

人気記事