警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

警備員になろうと思ったら、まず読んでください。 現場で出会った人間たち。実体験者が本音で語る警備員のリアル。

警備員の100日物語

【警備員物語17】立ったまま眠る警備員、大丈夫?――現場で一番怖い「睡魔」という敵

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「警備員って、立っているだけだから楽でしょう。」

そんな言葉を聞くことがある。

そのたびに私は苦笑いする。

もし本当に立っているだけなら、眠くなることはあっても、ここまで疲れる仕事にはならない。

ところが現実は違う。

交通誘導警備は、一日中、神経を張り続ける仕事だ。

工事車両が来る。

歩行者が来る。

自転車が来る。

子どもが飛び出してくる。

スマホを見ながら歩いてくる人もいる。

そのすべてに気を配りながら、事故を起こさせないよう立ち続ける。

身体よりも、神経が疲れる仕事なのである。

立ったまま眠ってしまう

実は、警備員にはあまり人へ言えない話がある。

睡眠不足が続くと、立ったまま眠ってしまうことがある。

もちろん、良いことではない。

あってはいけないことだ。

それでも現実には、そんな極限状態になる日がある。

現場が遠く、朝四時、五時に起きる。

帰宅は夜。

風呂へ入り、夕食を食べると、もう眠る時間しか残っていない。

それでも疲れすぎると、なかなか眠れない夜もある。

そんな日が何日も続く。

すると翌日、身体は現場へ来ているのに、脳だけが眠ろうとする。

私は柱へ少し寄りかかってしまったことがある。

カラーコーンへ軽く手を添えたこともある。

「あっ、今、一瞬意識が飛んだ。」

そう感じて慌てて姿勢を正した。

仲間を見て、自分を見た

先日、別の現場で他の警備員を見かけた。

目を閉じたまま立っていた。

ほんの数秒だったと思う。

私は思わず、

「大丈夫かな。」

と思った。

しかし次の瞬間、

「分かる。」

とも思った。

決して笑えなかった。

あれは怠けているのではない。

身体が限界に近づいているサインなのだ。

だからこそ、危ない。

警備員は事故を防ぐ仕事である。

その警備員自身が注意力を失えば、本末転倒になってしまう。

夏は眠気も強くなる

夏になると、さらに厳しい。

炎天下で体力を奪われる。

汗を大量にかく。

熱中症を防ぐため、水を飲む。

塩分も補給する。

ところが身体は疲れ続ける。

昼食後などは、眠気が一気に襲ってくることがある。

私はそんなとき、ハッカのキャンディーをなめる。

口の中がスーッとすると、少しだけ頭が冴える。

ほんの気休めかもしれない。

それでも、何もしないよりずっといい。

睡魔と戦うために私がやっていること

警備員になってから、眠気対策も仕事の一部だと思うようになった。

私自身が意識していることを挙げてみる。

まず、水分補給を我慢しないこと。

脱水は眠気や集中力の低下につながる。

次に、休憩時間にはスマホばかり見ないこと。

ついニュースや動画を見てしまうが、目も脳も休まらない。

私は数分でも目を閉じて身体を休めるようにしている。

ハッカ飴やガムも役に立つ。

ただし、一般通行人の目を気にして、クチャクチャ噛まないこと。

舌の奥に入れたり、たまにクチャッと噛む程度にする。

噛むことや口の中への刺激で、眠気が少し和らぐことがある。

また、姿勢を変えることも効果がある。

安全が確保できる範囲で足を動かしたり、肩を回したり、軽く屈伸したりするだけでも血流が変わる。

もちろん、配置を離れて歩き回るわけにはいかない。

しかし、その場でできる小さな動きでも違う。

そして何より大切なのは、前日の睡眠だ。

当たり前のことだが、一番難しい。

遠い現場が続く。

帰宅が遅い。

翌日は早朝集合。

これでは睡眠時間そのものが足りなくなる。

だから休みの日にしっかり眠ることも、仕事の準備なのだと思っている。

無理を美徳にしてはいけない

昔は、

「眠くても我慢しろ。」

「根性だ。」

そんな時代もあった。

しかし今は違う。

睡眠不足は、安全の問題である。

居眠り運転が危険なのと同じように、居眠り警備も危険だ。

眠気を感じたら、無理に隠さない。

隊長へ相談する。

休憩を早めてもらう。

顔を洗う。

水を飲む。

少し身体を動かす。

そうした行動が事故を防ぐ。

眠そうな仲間がいたら、声掛けを。

私は、目を閉じて立っていた警備員の姿が忘れられない。

あれは、昨日までの私だったかもしれない。

明日の私かもしれない。

だから夏場は特に、仲間の様子も見るようにしている。

返事が遅くないか。

目が閉じそうになっていないか。

動きが鈍くなっていないか。

それは熱中症の前触れかもしれないし、極度の睡眠不足かもしれない。

どちらにしても、放っておいてはいけない。

睡魔も現場の危険の一つ、ただ立っているだけじゃない!

警備員が向き合う危険は、車だけではない。

熱中症だけでもない。

睡魔もまた、見えない危険の一つである。

立ったまま眠ってしまうほど疲れているなら、それは身体からの警告だ。

無理を続ければ、自分だけでなく周囲も危険にさらしてしまう。

今日も現場には、眠気と戦いながら立っている警備員がいる。

ハッカのキャンディーを口へ入れ、冷たい水を一口飲み、背筋を伸ばし、もう一度周囲を見渡す。

その姿は決して「立っているだけ」ではない。

見えない睡魔とも戦いながら、街の安全を守っているのである。

-警備員の100日物語

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広告系プランナー、フリープランナーを経て店舗経営に挑戦するも失敗。
その後、地方ホテル支配人、配送ドライバー、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験。
現在は警備の現場に立ちながら、警備員や現場仕事を人生の再起の入口として発信しています。
成功談だけではなく、落ちた側・働く側のリアルを知る者として、
再起を応援する「再起プランナー」として発信中。

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