警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

警備員になろうかな、と思ったらまず読んでください。 実体験者が現場で出会った人間たちを、本音で語る警備員の実情。

警備員物語100

【警備員物語 61】失業して最後に残った仕事──それが警備員だった

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仕事がなくなった。その時に残ったのが、警備員という仕事だった。

いや、正確には、自分がやれる仕事がなくなった、と言ったほうがいいのかもしれない。

五十代の終わり。地方の宿泊業を、やむを得ない事情で辞め、東京へ戻ってきた。
もう一度やり直そうと思っていた。

だが、現実は私が思っていたより、ずっと冷たかった。

失業したあの日、「仕事がない」という現実に直面した

東京へ戻ってから、仕事はいくつも変えた。

配達ドライバー。テレアポ。土木会社の現場代理人見習い。ラーメン屋の見習い。

どれも長くは続かなかった。
自分から辞めた仕事もある。
辞めざるを得なかった仕事もある。

最後に働いたラーメン屋では、とうとうクビになった。

店を出た帰り道、行くあてはどこにもなかった。

求人サイトを開いても、今現在50代末の自分にできそうな仕事は見つからなくなっていった。

うすうす気づいていた。
もう残っている仕事は、あれしかない。
なるべくやりたくない仕事、
警備員だった。

求人サイトで最後まで残っていた仕事が警備員だった

毎日、求人サイトを開き下記の項目を探した。

年齢不問。
未経験歓迎。
シニア活躍中。

そんな文字が何度も目に入る。
しかし実際に応募してみると、年齢の壁は厚かった。

書類選考で落とされる。
経験者を優先される。
ともあれ、年齢で落とされる。
応募しても、返信すら来ない。

そんな求人が続くなかで、
最後まで大量に募集していたのが警備員だった。

道路工事。
建設現場。
イベント警備。
施設警備。

「ああ、ここしかないのか。」

そう思いながら、応募ボタンを押した。

「警備員だけはやりたくない」と思っていた私

実は東京へ戻ったばかりの頃、配達ドライバーをしていた。

正直、車の運転はあまり得意じゃない。
けど、手っ取り早く稼ぐには、近道だった。

毎日、都内を走る。
信号待ちをしていると、工事現場で旗を振る警備員が目に入る。
車にも気を遣う。
歩行者にも気を遣う。
自転車にも気を遣う。

夏は炎天下。
冬は凍える寒さ。

「あれだけはやりたくない。」
そう思っていたのが警備員だった。

ドライバーも大変だったけど。
警備員は、もっと神経を使う仕事に見えた。
制服とヘルメット、帽子が面倒くさそうだった。

まさか一年後、その制服を自分が着ることになるとは思いもしなかった。

50代末、未経験でも採用された

いろいろ職を転々として、警備会社も何度か受けて落とされた。

最後に割合い厳しくなさそうな雰囲気の警備会社へ応募した。

電話すると驚いた。

「面接に来てください。」
と、返事はすぐだった。

ほかの会社では書類選考で落ち続けていた私が、この警備会社だけは即日面接だった。

研修の日程も、面接のその場で決まった。

年齢よりも、健康であること。
真面目に現場へ行けること。
その会社の面接担当の方との話で、
それが何より(その会社にとっては)大切なのだと知った。

人生で初めて、自分は「警備員なら必要とされる人間なのだ」と思った。

制服を着た初日、人生は終わったと思った

研修を終え、初めての勤務日。
支給された制服に袖を通した。

鏡を見ると、
そこに映っていたのは、以前、配達中に見かけていた警備員だった。

「ああ……俺は、また警備員になったんだ。この齢で」

胸の奥が重くなった。
「人生は終わった。」
そんな言葉が頭をよぎる。

悔しかった。
情けなかった。
ここまで落ちてしまったのか。
そんな思いが何度も押し寄せた。

しかし現場で見えた「人生の波止場」の風景

ところが、現場に立つようになると、見える景色が変わってきた。
警備員は、街を眺める仕事でもある。

眺めているのじゃだめだけど、よくよく見ると
いろんなものが見える。

通勤する人。
保育園へ急ぐ親子。
買い物帰りのお年寄り。
外国人観光客。
工事の職人。
宅配ドライバー。
自転車で駆け抜ける高校生。

一日立っているだけで、日本という国の縮図が目の前を流れていく。

東京には、実にさまざまな人生がある。

順風満帆に見える人もいる。
疲れ切った顔で歩く人もいる。
笑っている人もいれば、泣きそうな顔をしている人もいる。
警備員は、そんな人たちを毎日見送り、迎える仕事なのだ。

私はここを、「人生の波止場」と呼ぶようになった。

失業は終わりではなく、新しい物語の始まりだった

失業したとき、人生は終わったと思った。
警備員になった日も、人生は終わったと思った。
だが、今なら少し違うことが言える。

終わったのではない。
別の物語が始まったのだ。

この仕事を通じて、人を観察し、自分を見つめ直し、書くべきテーマを見つけた。

「警備員ブルース」は、その現場から生まれている。

失業して最後に残った仕事が、人生を見直す場所になった

失業すると、人は自分の価値まで失ったような気持ちになる。

私は、ある種人生のすべてを失った気がした。

最後に残ったのが警備員という仕事だった。

最初は敗北だと思った。
しかし今は少し違う。

この仕事は、社会の最前線で人を見続ける仕事だった。
そして私は、その景色を書く人間になろうと思った。

もし今、失業して途方に暮れている人がいるなら伝えたい。

最後に残った仕事が、最後の人生になるとは限らない。
そこから、新しい物語が始まることもあるのだから。

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再起プランナー。現在、現役警備員として働きながら、自らの再起を模索中!

元広告代理店勤め、フリーランスプランナーへ。店舗経営(DJバー)を経て、事業に失敗。

その後、地方ホテル支配人、配送、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験する。

現在は交通誘導警備の現場に立ちながら、仕事の厳しさ、人間模様、収入、失敗談、そして現場で見つけた小さな希望を「警備員ブルース」に記録しています。

人生は、思いどおりにいかなくなってからも、続く。

失業した人、仕事に行くのがつらい人、60代からの働き方に迷っている人へ。成功者の上から目線では全くなく、現場で働く一人として、警備員という仕事の現実と、人生をもう一度立て直すためのヒントを届けます。

失敗しても、人生はそこで終わらない。
現場仕事を「人生の再起の入口」に変える、再起プランナーとして発信しています。

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