警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

警備員になろうかな、と思ったらまず読んでください。 実体験者が現場で出会った人間たちを、本音で語る警備員の実情。

警備員物語100

【警備員物語 63】警備員になったら?将来が不安?現実と可能性、独り言。

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「警備員になったら人生終わりだよ」

そんな言葉をよく聞いた。このブログでも何度も出てくるフレーズだ。

聞いた、それは、実はその頃の私の独り言だ。

「警備員になったら人生終わりだよ」

そして、私が今の警備員をはじめる当初、その言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。

人生終わりだよ、と。

実際、いくら探しても警備員以外、仕事がなかった。

50代終わりの頃、地方の宿泊施設の支配人を辞めざるを得ない状況になり、
再就職先を探したが、なかなか見つからない。

それからの仕事は、配達ドライバー、テレアポ、工事現場の代理人見習い、ラーメン屋見習い。
どれにも合わずに続かなかった。

そして、探しに探し、最後の砦が、警備員だった。

20代、30代、広告代理店にいた頃は、自分が警備員になるとは思わなかった。

まあ、バブル期だから、給料はべらぼうに高いほうでもなかったけど、
そこそこ悪くなかった。

イベント、撮影、出張、経費は使い放題だったからね。

クライアントさま、様!!

そこそこ余裕があり、バーを経営していた頃も思わなかった。

イベントを企画していた頃も思わなかった。

イベンターになって「小さいロックフェス」をやった時も思わなかった。

よもや警備員なんてさ。。。

ところが人生というのは、思いもよらない方向へ曲がる。

気がつけば六十を過ぎ、財布の中身を気にしながらコンビニへ行き、家賃の支払い日を計算している。

人生というのは、いつからこうなったのだろう。

もちろん、自分の責任だ。

誰のせいでもない。

店をやったのも自分だ。失敗したのも自分だ。

無茶な挑戦を繰り返したのも自分だ。

だから文句は言えない。

だが、それにしても。

まさか、この歳になって職探しをするとは思わなかった。

求人サイトを開く。

何度も開く。

事務職。

経験者優遇。

営業職。

年齢制限。

管理職経験者歓迎。

パソコンスキル必須。

画面をスクロールするたび、自分の居場所が消えていくような気がした。

そして最後の方に現れる。

最期の道、警備員募集。

交通誘導スタッフ。
未経験歓迎。
シニア活躍中。
週一日から可。
年齢不問。

なぜだろう。そこだけが妙に優しい。

優しいというより、他に行く場所がない者を受け入れているようにも見えた。

私はパソコンモニターの画面を見つめた。

警備員、だと。

本当にやるのだろうか、私は?

交差点に立って棒を振る。
工事現場で頭を下げる。
雨の日も風の日も外に立つ。
そんな自分の姿を想像した。

正直に言う。
嫌だった。
怖かった。
恥ずかしかった。
情けなかった。
人生の敗北者になったような気がした。

同級生たちはどうしているだろう。
定年まで勤め上げた者もいるだろう。
会社役員になった者もいるだろう。
孫と遊んでいる者もいるだろう。

私は何をやっているのだ。

六十を過ぎて、パソコンの前で警備員募集の画面を見つめている。

情けなくて笑えてきた。

その時、ふと思った。
本当に人生は終わりなのか。
終わったのは、昔の自分ではないのか。
広告マンだった自分。
バーの店主だった自分。
イベントプロデューサーだった自分。

それらは、確かにあって、
確かに終わったかもしれない。
だが、私という人間そのものが終わったわけではない。
そう考えると、少しだけ景色が変わった。

警備員になることは敗北なのか。
それとも、新しい人生の入口なのか。

その答えはまだ分からない。
ただ一つ分かっていることがある。
何もしなければ、何も変わらないということだ。

求人画面の応募ボタンを見つめる。
指が止まる。
何度も止まる。
そして私は、小さくため息をついた。
人生の地平線は、歩き出した者にしか見えない。
昔、そう思っていた。
ならば今も同じだろう。

私は震える指で応募ボタンを押した。
警備員になったら人生は終わりなのか。
その答えを確かめるために。

つづく。私という人生は。

仕事がない!そんなあなたが活躍する仕事、それが警備員!
そんな私が活躍するだろうか、という仕事、それが警備員!

ともあれ、警備員はつづく!!

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元広告プランナー、フリーランス、店舗経営を経て、事業に失敗。

その後、地方ホテル支配人、配送、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験してきました。

現在は交通誘導警備の現場に立ちながら、仕事の厳しさ、人間模様、収入、失敗談、そして現場で見つけた小さな希望を「警備員ブルース」に記録しています。

人生は、思いどおりにいかなくなってからも続きます。

失業した人、仕事に行くのがつらい人、60代からの働き方に迷っている人へ。成功者の上から目線ではなく、いまも現場で働く一人として、警備員という仕事の現実と、人生をもう一度立て直すためのヒントを届けます。

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