警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

警備員になろうかな、と思ったらまず読んでください。 実体験者が現場で出会った人間たちを、本音で語る警備員の実情。

警備員物語100

【警備員物語89】警備員をしながら、次の人生をつくる――辞める前に始めればいいさ

投稿日:

警備員を辞めたい。

何度そう思っただろう。

暑い日。

雨の日。

朝の早い現場。

遠い現場。

突然、勤務場所を変更された日。

誘導棒を持って道路に立ちながら、

「いつまで、これをやっているんだろう」

と思う。

では、辞めればいい。

話は簡単である。

ところが、その次に必ず出てくる問題がある。

辞めて、何をする?

ここで私は止まる。

転職するのか。

自分で商売するのか。

以前やった便利屋をもう一度やるのか。

ブログを書くのか。

何か別の仕事を探すのか。

それとも――。

考えているうちに翌朝になる。

勤務指示が来る。

私は制服を着る。

そしてまた現場へ行く。

そんなことを繰り返して、もう六年目になった。

だったら最近、私はこう思うのである。

順番が逆なのではないか。

警備員を辞めてから次を始めるのではない。

警備員をやりながら、次を始めればいい。

「警備員を辞めたら人生を変える」では遅いかもしれない

人間というのは不思議なもので、

「○○したら始めよう」

と考える。

仕事を辞めたら。

時間ができたら。

金が貯まったら。

体調が良くなったら。

転職先が決まったら。

年金をもらったら。

そのときになったら、本気でやる。

私もそうだった。

しかし、

その「いつか」は、なかなか来ない。

仕事を辞めれば、今度は収入が心配になる。

時間ができれば、意外とダラダラする。

金が貯まるのを待っていたら、何年かかるか分からない。

体調が完璧になる日など、本当に来るのか。

まして私は64歳である。

「条件が整ったら始めます」

などと悠長なことを言っていたら、

条件が整う前に65歳、66歳、67歳になる。

だから、

今のまま始めるしかない。

警備員を続けながら転職活動をしてもいい

まず、一番分かりやすいのは転職である。

警備がきつい。

もっと身体への負担が少ない仕事をしたい。

毎日違う現場へ行く生活から離れたい。

だったら、警備員をやりながら探せばいい。

私もマンション管理員に応募した。

面接まで行った。

そして、

落ちた。

「管理人はサービス業なんですけど」

と言われたことが、妙に頭に残った。

不採用になったときは落ち込んだ。

しかし、考えてみれば、それでいいのである。

警備員を続けていたから、落ちても翌日の仕事があった。

もし先に警備員を辞めていたら、

不採用通知を見ながら、

「来月の家賃どうする」

まで考えなければならなかった。

警備を続けながら応募する。

落ちたら、また探す。

そして条件の合うところが見つかったら移る。

格好よくはない。

しかし、

再出発というものは、案外こういうものなのだと思う。

「次の人生」は転職だけではない

ただ最近、私はもう一つ考えている。

次へ行くというのは、

必ずしも別の会社へ就職することだけなのだろうか。

自分で小さく仕事を始めてもいい。

以前やった便利屋のことを思い出した。

店を潰したあと、本当に金がなくなった時期がある。

家賃を払う金さえ危なくなった。

そこでチラシを作った。

一円コピーで2000枚刷った。

近所に500枚ほど配った。

数日後、電話が鳴った。

トイレ掃除だった。

そこから仕事が広がった。

あのときの私は、

資格が揃ってから始めたわけではない。

立派な事務所を作ってから始めたわけでもない。

事業計画書を半年かけて作ったわけでもない。

金がないから、始めた。

今思えば、あれも再出発だった。

警備員をしながら副業や小さな商売を試してもいい

もちろん、勤務先の就業規則や契約、税金など確認すべきことはある。

しかし、それを確認したうえで可能なら、最初から大きな商売をする必要はない。

小さく試す。

自分にできることを売ってみる。

昔の経験を掘り起こす。

知っていることを書く。

誰かの困りごとを手伝う。

一件やってみる。

一人に売ってみる。

反応を見る。

ダメなら直す。

それを警備員をしながらやる。

生活費の全部を新しい仕事から稼ごうとするから怖くなる。

最初は、

1000円でもいい。

自分の力で、警備以外から1000円を生み出す。

次に5000円。

一万円。

そうやって、

出口を少しずつ作る。

これなら現実的である。

私にとって『警備員ブルース』も次の人生の準備だ

そして、私が今やっていることがある。

この、

『警備員ブルース』

である。

最初から大きな目的があったわけではない。

警備の現場で起きたことを書く。

変な隊員を書く。

嫌なことを書く。

笑ったことを書く。

辞めたいと書く。

雨の日を書く。

人生を書く。

そうしているうちに、80話を超えた。

そして今、89話まで来た。

最初はただの警備員ブログだった。

しかし最近、少し変わってきた。

これは、

私自身の再出発の記録なのではないか。

そう思うようになった。

文章を書いていたら、過去の仕事まで戻ってきた

『警備員ブルース』を書いていると、警備員になる前のことまで思い出す。

広告の仕事。

企画。

営業。

店。

イベント。

宿泊施設。

配送。

便利屋。

失敗。

いろいろなものが出てくる。

一度は、

「終わったこと」

だと思っていた。

しかし、書いてみると違う。

終わった経験ではなく、

これから使える材料

だったのかもしれない。

店を潰した経験もそうだ。

便利屋を始めた経験もそうだ。

警備員になった経験もそうだ。

成功だけが財産ではない。

失敗も、

転職も、

遠回りも、

全部材料になる。

そう考えると、私は思っていたより何も持っていない人間ではなかった。

むしろ、

材料だけはやたら多い。

ただし、あれもこれも始めると何も進まない

ここで問題が出てくる。

次の人生を作ろう。

転職。

ブログ。

便利屋。

自営。

資格。

本を書く。

何でもやろう。

……となると、

たぶん全部止まる。

これは私自身への注意でもある。

再出発だからといって、

十個のことを同時に始める必要はない。

むしろ逆だ。

今日、一個やる。

これでいい。

求人を一件見る。

原稿を500字書く。

昔の資料を一つ整理する。

一人に連絡する。

商売のアイデアを一個メモする。

一冊の本を10ページ読む。

たったそれだけ。

しかし、

ゼロと一は違う。

何もやらなければ、

明日も昨日の続きである。

一個やれば、

ほんの少しだけ進路が変わる。

一日500字なら、一年で18万字になる

例えば文章を書く。

「本を書きたい」

と思う。

しかし本一冊を想像すると、大変である。

だったら一日500字でいい。

500字なら、少し頑張れば書ける。

それを続ければ、

500字×365日。

18万字を超える。

もちろん全部が本になるわけではない。

書き直しも必要だ。

捨てる文章もある。

それでも、

何も書かなかった人と、18万字書いた人では一年後が違う。

これは転職活動でも商売でも同じだと思う。

一日一件。

一日一ページ。

一日一人。

一日一歩。

人生は劇的には変わらない。

しかし一年後、

気づけば別の場所にいるかもしれない。

警備員は「生活費を稼ぎながら挑戦する場所」にできる

前回、私は警備員を、

「人生の踊り場」

と書いた。

その考えは、今も変わらない。

警備員を一生続けたい人は続ければいい。

資格を取り、警備のプロを目指す道もある。

それも立派な選択である。

一方、

「ここから別のところへ行きたい」

という人もいる。

だったら警備員という仕事を、

生活費を稼ぎながら、次を準備する場所

として考えてもいいのではないか。

警備員だから夢を持ってはいけない理由などない。

警備員だから起業してはいけない理由もない。

警備員だから本を書いてはいけない理由もない。

警備員だから転職できないわけでもない。

若くてもいい。

50代でもいい。

60代でもいい。

警備服を着ている時間と、

その人の人生全部は、

同じではない。

「もう遅い」が一番危ない

64歳になると、どうしても考える。

もう遅いのではないか。

今から転職?

今から商売?

今から本?

今からブログ?

今から何をするというのだ。

自分の中から、そんな声が聞こえてくる。

しかし、

「もう遅い」

と言って何もしなければ、

一年後には65歳である。

そのとき私は、

「あのとき64歳だったら、まだできたのに」

と言うかもしれない。

これは笑えない。

65歳になれば、

「64歳なら若かった」

と思う。

70歳になれば、

「65歳ならまだ若かった」

と思うかもしれない。

だったら、

人生で一番若いのは、いつだ。

今日である。

当たり前すぎる。

しかし、本当にそうなのだ。

辞めたいなら、辞める準備を始めればいい

警備員を辞めたい。

いいと思う。

私も何度も思っている。

しかし、

「辞めたい、辞めたい」

と言いながら何年も同じ場所にいるのは苦しい。

だったら、

辞めるための行動を一つ始める。

求人を見る。

応募する。

資格を調べる。

副業を始める。

金を貯める。

自分の経験を書き出す。

人に相談する。

商売を小さく試す。

何でもいい。

すると、

「辞めたい」

が、

「次へ行く途中」

に変わる。

同じ警備員でも、気持ちはまったく違う。

明日も私は警備員である

たぶん明日も私は制服を着る。

ヘルメットをかぶる。

誘導棒を持つ。

現場へ行く。

歩行者が来る。

「お気をつけてどうぞ」

車が来る。

止める。

通す。

見た目だけなら、

昨日と何も変わらない。

私はまだ警備員である。

しかし、仕事が終わったら、

一つやる。

一本書く。

一件調べる。

一歩だけ動く。

そして次の日も、

一つやる。

それでいい。

人生が変わるのは、警備員を辞めた日ではない

いつか私は、警備員を辞めるかもしれない。

その日がいつなのかは、まだ分からない。

別の会社へ行くのか。

自分で仕事をするのか。

文章を書くのか。

それらを組み合わせるのか。

まだ分からない。

でも最近、一つだけ分かったことがある。

人生が変わるのは、

警備員を辞めた日ではない。

退職届を出した瞬間でもない。

新しい会社へ入った日でもない。

たぶん、

「次の人生を作ろう」と実際に動き始めた日から、もう変わり始めている。

だから、

辞めるまで待たなくていい。

金持ちになるまで待たなくていい。

完璧な計画ができるまで待たなくていい。

64歳の私にも、

今日できることが一つくらいある。

明日も警備。

それでいい。

誘導棒を置いたあと、

自分の人生を少しだけ動かす。

一ページ。

一件。

一歩。

それを続ける。

警備員をしながら、

次の人生をつくる。

辞める前に、始めればいいさ。

私はまだ警備員だ。

しかし、

もう私は、次の現場へ向かい始めている。

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個人事業企画・再起プランナー。
現在、現役警備員として働きながら、自らの再起を模索中!

元広告代理店勤め、フリーランスプランナーへ。店舗経営(DJバー)を経て、事業に失敗。

その後、地方ホテル支配人、配送、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験する。

現在は交通誘導警備の現場に立ちながら、仕事の厳しさ、人間模様、収入、失敗談、そして現場で見つけた小さな希望を「警備員ブルース」に記録しています。

人生は、思いどおりにいかなくなってからも、続く。

失業した人、仕事に行くのがつらい人、60代からの働き方に迷っている人へ。成功者の上から目線では全くなく、現場で働く一人として、警備員という仕事の現実と、人生をもう一度立て直すためのヒントを届けます。

失敗しても、人生はそこで終わらない。
現場仕事を「人生の再起の入口」に変える、再起プランナーとして発信しています。

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