警備員ブルース|人生の波止場から響くもの

警備員になろうと思ったら、まず読んでください。 現場で出会った人間たち。実体験者が本音で語る警備員のリアル。

警備員物語100

【警備員物語18】ギョーカイ勘違い野郎

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警備員の世界には、本当にいろいろな人がいる。

定年後の第二の仕事として来た人。生活のために働く人。借金を返すために必死な人。元職人。元料理人。元会社員。そして、副業として警備をしている人。

警備という仕事は、資格や経験がなくても始めやすい。

だから昔から、役者、ミュージシャン、声優、芸人、映像関係、ライター……「いつか売れたい」と夢を追いかける人たちも少なくなかった。

それ自体は悪いことではない。

夢を持っている人は好きだ。

私自身も広告の世界にいたし、店を経営し、イベントを企画し、文章を書き続けている。だから、何かを目指している人を笑う気はまったくない。

だが、たまに困った人がいる。

私は心の中で「ギョーカイ勘違い野郎」と呼んでいる。

まだ何者にもなっていない。

作品も売れていない。

テレビにもほとんど出ていない。

生活費は警備の給料で成り立っている。

それなのに、現場へ来ると、まるで大スターのような態度なのである。

電話一本受けるだけでも妙に横柄だ。

「俺は業界の人間だから」

そんな空気を全身から漂わせている。

こちらが普通に話しかけても、どこか上から目線。

警備の仕事をしているのに、心は赤坂か六本木のテレビ局にいるらしい。

さらに困るのは、自慢話が止まらないことだ。

「○○さん知ってる?」

「この前、△△のライブの楽屋でさ。」

「昔、□□さんと飲んだことあるんだよ。」

話を聞いていると、本人が何かを成し遂げたわけではない。

有名人の近くにいただけ。

同じ空気を吸っただけ。

エレベーターで一緒になっただけ。

それでも、なぜか本人は勲章のように語る。

私は広告代理店に十年以上いた。

イベントも企画した。

芸能人やミュージシャンと仕事をすることもあった。

だから分かる。

本当に一流の人ほど、自分から人脈をひけらかさない。

むしろ普通に接する。

名前を出して自分を大きく見せようとはしない。

だから余計に、「知り合い自慢」でしか自分を表現できない人を見ると、少し切なくなる。

警備の現場は不思議な場所だ。

社会の縮図でもあり、人生の吹きだまりでもある。

夢を追う人もいる。

夢をあきらめた人もいる。

そして、ごくまれに、夢と現実の境目が見えなくなってしまった人もいる。

もちろん、本当に役者として成功する人もいる。

声優として売れる人もいる。

それは素晴らしいことだ。

しかし、成功する人ほど、今目の前にある仕事を大切にする。

交通誘導なら交通誘導。

歩行者への声掛けなら声掛け。

現場では、誰よりも真面目だ。

夢があることと、今の仕事を軽く見ることは、まったく別の話なのである。

警備員という仕事は、不思議なほど人間性が表れる。

暑さの中で立ち続ける。

理不尽に怒鳴られる。

感謝されることは少ない。

そんな毎日を繰り返していると、肩書きもプライドも、少しずつ剥がれ落ちていく。

最後に残るのは、その人の人柄だけだ。

「俺は業界人だから。」

そんな言葉は、現場では何の役にも立たない。

歩行者を安全に通すこと。

仲間と気持ちよく仕事をすること。

それができる人のほうが、私はずっと格好いいと思う。

警備員ブルースを書いていると、いろいろな人の顔が浮かぶ。

笑える人。

泣ける人。

腹の立つ人。

そして、「ああ、この人も人生にもがいているんだな」と思える人。

ギョーカイ勘違い野郎も、その一人である。

夢を見ることは、悪くない。

だが、夢を語る前に、今日の現場をきちんと務める。

それが、本当のプロへの第一歩なのではないかと、私は思っている。

-警備員物語100

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広告系プランナー、フリープランナーを経て店舗経営に挑戦するも失敗。
その後、地方ホテル支配人、配送ドライバー、飲食、施設警備、交通誘導など、さまざまな現場仕事を経験。
現在は警備の現場に立ちながら、警備員や現場仕事を人生の再起の入口として発信しています。
成功談だけではなく、落ちた側・働く側のリアルを知る者として、
再起を応援する「再起プランナー」として発信中。

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