
警備員の仕事をしていると、恋愛なんてもう自分には遠い話だと思うことがある。
朝は早い。現場は地味にきつい。夏は暑く、冬は寒い。気を抜けないくせに、誰にも気づかれないような一日も多い。そんな毎日を重ねていると、恋だの愛だのは、若い連中の専売特許みたいに思えてくる。
だが、現場というのは不思議なところである。
何日か同じ現場に入って、同じ空気を吸い、同じ職人さんたちを見送り、休憩のタイミングまで似てくると、人は少しずつ打ち解ける。警備員同士ならなおさらだ。無駄話を少しする。缶コーヒーを飲みながら笑う。そんなささやかな時間の積み重ねが、ある日ふいに、胸の奥をくすぐることがある。
目次
警備員の現場では、意外と人間関係が近くなる
警備員の仕事は、ひとりで立っているように見えて、実は人との距離が近い仕事でもある。
相棒の警備員とは、立ち位置や声かけの呼吸を合わせなければならない。現場が忙しい日ほど、ちょっとした気づかいやフォローが身にしみる。
「お疲れさま」
「寒いですね」
「さっき助かりました」
そんな一言が妙に心に残る日がある。
若い頃の恋愛みたいに勢いがあるわけじゃない。
けれどシニアの恋は、仕事の中の小さな優しさから始まることがある。むしろ、そのほうが本物っぽい気もする。
警備現場帰りの焼き鳥屋で、思わぬ空気になった夜
この前、何気なく現場が一緒だった女性と、仕事帰りに焼き鳥屋へ寄った。
別に深い意味はなかった。今日も無事終わったし、一杯くらい飲んで帰るか、そんな軽い流れだった。
ところが、カウンターで焼き鳥をつまみながら話しているうちに、相手がふっと、こっちを見て、好きっぽいことを言ったのである。
こちらは一瞬、固まった。
え、そういう話になるのか。
まいったな、と思った。
嬉しくないわけじゃない。むしろ少し嬉しい。
だが、そこで素直に飛び込めるほど、もう若くはない。
シニア恋愛が切ない理由|バツイチ・子持ち・過去がある
シニアの恋愛がちょいと切ないのは、みんな何かを背負っているからだ。
若い頃みたいに「好きだから付き合う」で済まない。
お互いバツイチ。
子どももいる。
それぞれに過去があり、生活があり、簡単には動かせない事情もある。
だから、ときめいたとしても、すぐに前へ進めない。
嬉しさのあとに、ためらいが来る。
この歳で恋なんて、と照れる気持ちもある。
相手を傷つけたくない気持ちもある。
自分だって、これ以上ややこしい思いはしたくない。
そう考え始めると、焼き鳥の煙がやけに沁みる夜もある。
警備員の仕事には、人生の余白がにじむ
警備員の現場には、いろんな人が集まる。
前職もバラバラ、年齢もバラバラ、背負っている事情もバラバラだ。
だからこそ、ときどき人生の余白みたいなものが見える。
無口な人が、急に昔の話をする。
いつも明るい人が、ふと寂しそうな顔をする。
そういう場面に出くわすたび、警備員という仕事は、ただ誘導棒を振るだけの仕事じゃないと思う。
人の暮らしのにおいがある。
再出発の途中みたいな人が多い。
だから恋の気配だって、ゼロじゃない。
むしろ、少し不器用な大人同士だからこそ、変に胸に残るのである。
シニア警備員にも、ときめく瞬間はある
恋愛というと、華やかなものを想像する人もいるかもしれない。
だがシニアの恋は、もっと地味で、もっと静かだ。
帰り道が同じ方向だった。
缶コーヒーを一本おごった。
「また同じ現場だといいですね」と言われた。
その一言だけで、次の勤務が少し楽しみになる。
そんな程度で、人は案外救われる。
警備員の仕事は、単調に見えて、実際にはいろんな感情が交差する。
しんどい日もある。むなしい日もある。
だが、ときどきこうして、心がふっと灯ることがある。
それだけでも、捨てたもんじゃないと思う。
警備員の仕事は、生活だけでなく新しい縁を運ぶこともある
もちろん、恋愛が目的で警備員になる人はいない。
だが、働く場所としての警備には、人との出会いがある。
同世代も多い。再スタート組も多い。人生の機微がわかる人も多い。
だから、仕事を探している人にとっては、単なる日銭の場ではなく、生活を立て直しながら人とのつながりも持てる職場になりうる。
それが警備の世界の、意外なところかもしれない。
今の仕事や暮らしに少し行き詰まりを感じているなら、警備員という働き方をのぞいてみるのも悪くない。
きつさはある。楽ではない。
けれど、その中に小さなトキメキや、思わぬ縁が転がっていることもある。
生活を立て直したい人。
もう一度、人のいる現場で働きたい人。
そんな人は、警備員求人を一度見てみてほしい。
シニアでも働きやすい案件があり、未経験から入れる現場も少なくない。
人生の後半に、仕事と一緒に何かが少し動き出すこともある。