なぜ飲食店は失敗するのか?実体験者がこれから飲食店を始めたい人、飲食店の経営に悩んでいる人、起業を考えている勤め人に語る、今だから書ける冷静な自己分析

これは、すべての挑戦者、夢を捨てきれない敗者への手紙です。

2001年、夢を抱いて立ち上げた小さな飲食店が、なぜたった数年で閉店に至ったのか。その自らの経営の失敗について、長らく語ることができませんでした。
あの頃は語れなかった敗因を、今だからこそ冷静に、そして前向きに振り返ってみます。

目次

【序章】夢を形にしたあの日:飲食店開業のきっかけと想い

「自分の店を持ちたい」――そんな想いは、ちょっとした志がある人なら誰にでも一度はよぎる夢かもしれません。

特に、勤め人として一定の経験や人脈、多少の貯えができてくると、
「このへんで一発、自分の看板で勝負してみたい」と思う人も少なくないでしょう。

私自身も、かつて広告や販促のプランナーとして独立していた頃、その年の秋口月商100万円近い売り上げが2か月続き、ちょっと有頂天になりました。

そして、余裕ができた
「このへんで一発、自分の看板で勝負してみたい」「今しかない」
と長年の夢だった飲食店の立ち上げを決意しました。かつて通っていた昭和レトロなジャズ喫茶の雰囲気を再現し、音楽と酒が交差する文化の場をつくりたかったのです。

勤め人として一定の経験や人脈、多少の貯えができていました。

「お金があるうちに、店を安定させたい」
そう考えて、開業に踏み切ったのです。

店名は『Boxinglee’s Café』
昭和のレトロ感とジャズの空気感を融合させた空間が理想だったのですが、そんなムードも全くない店名でした。
「Boxing」には「闘う」「贈り物(boxing=贈り物を箱に詰める)」の二重の意味があり、いつかその名前と自分がやっていた空手、格闘技をミックスさせた名前で展開してみたい、と考えていました。
しかし、のちに気づきます。
「格闘技?」というイメージが先行し、お客様に抵抗を感じさせたり、別のコンセプトの店を連想させてしまったりすることがありました。

店の装飾は、当時交流があったアングラ劇団の舞台美術の方に依頼し、昭和の場末の町角をイメージさせる装置をつくりました。屋台のような小さなタバコ屋と、ブリキの掘っ立て小屋と、木製のオンボロ民家の窓をあたかも、まさにアングラの演劇の舞台装置のようにこしらえました。

開業初日は、友人知人が駆けつけてくれました。
ですが、ほどなくして店内は閑古鳥。

この時点ではまだ、敗因に気づいていませんでした。

【本題】飲食店が潰れる5つの典型的原因とは?私の実体験から

結果論として、私の店は5年程しか続きませんでした。
正直、閉店する頃も運転資金は底をつく寸前でした。
何故、そうなってしまったのか!?

その失敗の要因を大きく以下にまとめてみます。

【敗因1】立地とターゲットのミスマッチ ―「隠れ家」と「集客」は両立しない

私が開業した店舗は、駅から徒歩3分ほどの雑居ビルの3階にありました。

一見「駅チカ」に思えるかもしれませんが、エレベーターなしの3階という立地は、想像以上にハードルが高かったのです。

店舗の広さは25坪。程よく余裕があり、「隠れ家的な雰囲気」も悪くはなかった。
しかし現実には、「隠れ家」であることが、そのまま“人が来ない店”になってしまったのです。

そもそも私は、この物件を選んだ理由を今ふり返ると、「安易だった」としか言えません。
というのも、開店前にそのビルの地下一階で、知人が音楽系の店を経営しており、そこがそこそこ繁盛していた。
その様子を見て、「じゃあ同じビルの3階でもいけるだろう」と、根拠の薄い楽観的な期待だけで決断してしまいました。

結果、集客は思うようにいかず、店を始めてから「これはまずい」と気づく始末。
今にして思えば、立地やターゲット層との相性、通行量や導線など、基本的な現地調査や市場分析が圧倒的に不足していたのです。

【敗因2】コンセプトのブレが、店の“軸”を崩した

当初は「大人のためのジャズバー」として開業したはずの店でした。
しかし、いざオープンしてみると集客が思うようにいかず、焦りの中で次第に若者向けの弾き語りライブへと方向転換していきました。

その結果どうなったか――
・お金をあまり持たない若者たちが主な客層に
・雰囲気は騒がしくなり、「大人の空間」とはかけ離れていく
・静かに音楽を楽しみたい大人の常連が次々と離れていく

…という悪循環に陥ってしまいました。

つまり、店の「顔」と「中身」にズレが生じてしまったのです。
「ジャズバー」と言いながら、音楽もメニューも方向性もバラバラ。
来店者にとっては、「結局ここは何の店なのか?」がわからない。

新しいことに挑戦しているつもりでも、“コンセプトの一貫性”がなければ、それはただの迷走にすぎなかったのです。

【敗因3】“好き”を仕事にしすぎて、自分が壊れた

自分がやりたいことだからと、すべてを自分一人で抱え込みました。
仕入れから仕込み、接客、ライブのブッキング、片づけ、営業まで――ほぼ毎日、朝から深夜まで働き詰め。

最初は「情熱」で動けていましたが、次第に疲労とストレスで心も体もボロボロに
冷静に経営判断をする余裕もなくなり、売上と集客に振り回されるようになっていきました。

「好きなことを仕事にする」のは素晴らしいことです。
けれど、“全部ひとりでやる”ことと、“やりたいことを続ける”ことは別問題でした。
無理をして、結果的に続けられなくなってしまっては本末転倒です。

【敗因4】「なんとなく」で人を雇ってしまった

広い店内を一人で回し、バイトは女性一人が限界。
掃除・仕込み・接客・ライブ対応……
時間コストの認識が甘すぎました。

開店当初、知人の紹介や、たまたま応募してきた人を「人手が必要だから」という理由だけで雇っていました。
能力や相性、価値観のすり合わせもせず、「まあ、なんとかなるだろう」と。

しかしこれが後々、大きなボタンの掛け違いに。

・店のコンセプトを理解していない
・接客の質が安定しない
・信頼関係が築けない

当然、雰囲気もギクシャクして、常連もつきません。
「人」は店の空気をつくる最大の要素。
チームとしての一体感がないと、どんなにいい店でも空回りしてしまう
人選の大切さを痛感しました。

【敗因5】「来るのを待つだけ」の集客だった

SNSやチラシなど、広報活動が極端に少なかったことも、大きな敗因です。
実際、独りで広い店舗で開店したので、労力不足で大したPR活動もできませんでした。
「いい店を作れば、いつか自然に人が集まってくるはず」
――そんな“待ちの姿勢”でいました。

でも、実際には誰も知らない店に、偶然で人が来る確率なんてごくわずか。
しかも、エレベータなしの雑居ビルの3階。
階段を上ってくるわけがない。

・ターゲットに合わせた発信ができていない
・イベントの告知が遅い、弱い
・店の魅力を伝える工夫がない

いい店だったかもしれない。でも、“伝えなければ存在しないのと同じ”
どんなに想いがあっても、それが届かなければ、集客にはつながりません。

まだSNSが普及していない時代。
店の運営で手一杯になり、DMやハガキなどのアナログ販促も回らず。
顧客フォローに力を割けませんでした。

【深掘り】本当に問題だったのは
「準備不足」と「勝手な思い込み」

表面的な失敗の裏にあった“戦略欠如”

私は広告・販促の世界では成功体験を持っていました。
しかし、それは「整った組織や商品ありき」の話
ゼロから経営することの難しさを、完全に読み違えていたのです。

・飲食経営プロモーションは別物
・キャッチコピーでは集客はできても、売上にはならない
・イベントやライブだけでは継続的利益は生まれない

それに気づいたのは、閉店後でした。

自分の思考パターンと現実のギャップ

ミュージシャンとの関係は深まりましたが、
多くはプロではなく、集客力もない。
「仲間」としての関係に傾き、ビジネスとしての視点を失っていました。

ライブハウスとしての収益モデルを学び、
マネタイズ戦略を練るべきでした。

好きなことを「仕事」にする落とし穴

好きな空間を演出し、仲間と音楽を楽しむことはできました。
でもそれは「趣味の場」止まり。
看板、メニュー、価格設定、回転率――
飲食ビジネスの基本を軽視していたことが敗因です。

【転機】飲食店経営の失敗から学んだ3つの教訓

1. 「撤退」は敗北ではなく“判断力”

続けることが美徳ではありません。
早期撤退は、次の可能性を広げるための選択肢。
資金繰りを見て、ギリギリまで粘るのではなく「引き際」を見極める力が必要です。

2. 自分の強みと弱みを直視すること

私は人とつながる力はありましたが、経営の判断力には欠けていました。
「売上」「利益」「時間」のバランス感覚を学ぶべきだった。

3. 「商売」と「表現」は違う

表現は自己満足で完結できます。
でも商売は「相手のニーズに応えること」が前提。
それを混同してはいけません。

【再起】次に挑戦するなら、こう変える

あれから20年。
当時の仲間との関係はまだ続いています。
年齢も重ね、体力は落ちた今、リアル店舗よりも
文化的な発信をオンラインで行うことを志向しています。

【理想の再チャレンジ】

・文化×ネットの市場創出
・「好き」を活かした収益化モデルの構築
・マーケティングと発信力の再活用

【読者へ】失敗を語ることは、誰かの希望になる

昔の自分に伝えたい言葉があります。

「せっかくマーケティングの知識があったのだから、活かし切れ」と。

同じように悩んでいる方がいるなら、
まずは信頼できる専門家に相談してみてください。

独りで抱え込まず、セーフティネットや知見を借りるのも大事な力です。

これは「終わった話」ではなく、「新たなスタートの話」。

私は今、
「人間力マーケット」という新たなコンセプトで、
文化的な場づくりをインターネット上で始めようとしています。

失敗は通過点です。
どんな失敗も、そこから立ち上がれば、それはあなたの“強み”になる。

【最後に】失敗から学んだ、私が「辞める」と決めたこと

飲食店経営という挑戦の中で、私は多くのことを学びました。
その中で、次に進むために**「辞める」と決めた3つのこと**があります。

● 自分一人でなんとかしようとするのを辞める

孤独な闘いでは限界があります。もっと早く、助けを求めればよかった。

● 好きなことを「ビジネスになる」と思い込むのを辞める

好き=仕事になるとは限らない。冷静な市場分析と構造理解が必要です。

● 表現と商売を混同するのを辞める

表現は自己満足でいい。でも商売は「お客様視点」がすべて。そこを履き違えてはいけない。

辞めることは、負けではない。
それは、次のステージに進むための“取捨選択”です。

私の失敗が、誰かの一歩につながれば幸いです。

【まとめ:この記事のSEO的ポイント】

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    【最後に】失敗から学んだ、私が「辞める」と決めたこと

    ● 自分一人でなんとかしようとするのを辞める

    孤独な闘いでは限界があります。もっと早く、助けを求めればよかった。


    ● 好きなことを「ビジネスになる」と思い込むのを辞める

    好き=仕事になるとは限らない。冷静な市場分析と構造理解が必要です。


    ● 表現と商売を混同するのを辞める

    表現は自己満足でいい。でも商売は「お客様視点」がすべて。そこを履き違えてはいけない。


    辞めることは、負けではない。
    それは、次のステージに進むための“取捨選択”です。

    私の失敗が、誰かの一歩につながれば幸いです。


【締めくくり】失敗を語ることは、誰かの希望になる

過去の自分に言いたいことがあります。
「お前はマーケティングプランナーだったろ?だったら今、それを自分に使ってみな」と。

かつての経験を、もう一度焼き直し、今の時代に合った市場を創ってみる。
そう思い立ち、今こうして記事を書いています。

もしあなたが、今まさに店を立ち上げようとしているなら。
あるいは、既に苦境のなかで悩んでいるなら。

どうか、私の失敗をヒントにしてほしい。
そして、一人で抱え込まず、誰かに相談してほしい。

なぜなら、終わった話は、始まりの話にもなりうるからです。


《人間力マーケット》という新たな場から

私はこれからも、自分の失敗と向き合いながら、新しい市場を模索しつづけます。
誰かの「挑戦」が、ただの思いつきで終わらないように。
その手助けになるように。

次は、あなたの番かもしれません。

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